ついに市場に流通するゲノム編集食品 - その安全性は?実験台となる日本人

いろいろな野菜

*ついに解禁されるゲノム編集食品

 世界に先駆けて日本で、ゲノム編集食品が解禁されようとしている。早ければ、今年8月以降、ゲノム編集食品が市場に流通しだす可能性が出てきた。

 厚生労働省が、新開発食品調査部会において、ゲノム編集食品の取り扱いについて報告書を提出したのが今年の3月末。
 突然のようにして出てきたこの報告書で、厚生労働省はすでに、ゲノム編集食品の一般販売を許可すると結論付けていた。はじめから結論ありきの報告書だった。
 それからたった5カ月程度。まともな審議もろくにないまま、半年もしないうちにゲノム編集食品が市場に出回ろうとしている。

 厚生労働省は、国会審議も経ず、国民への十分な説明もないまま、行政判断のみで、性急に事を運ぼうとしている。
 ゲノム編集食品の流通を許可するとしても、すくなくともゲノム編集食品の取り扱いに関する関連法案を整えて、国民の理解を得てから行うべきだ。そうした重要な政治的過程をすべてフッ飛ばして、拙速に事を進めている。

 ゲノム編集食品に関しては、まだその安全性が確証されたわけでもなく、危険性への不安が払拭されているわけでもない。
 現に、日本以外の国で、ゲノム編集食品を一般に販売許可している国は、一つもない。
 アメリカは、ゲノム編集食品の研究と開発が盛んだが、一般への販売はまだ許可されていない。
 欧州では、司法裁判所が18年7月に、遺伝子組み換え食品と同様の規制をゲノム編集食品に対して行うとした。
 世界的に見てもまだ安全性の確かめられていないものを、厚生労働省の一部会が世界に先駆けて安全性を宣言し、市場に流通させようとしている。日本人を実験台にしようとしているとしか思えない。

広告
 

*ゲノム編集食品と遺伝子組み換え食品

 厚生労働省の新開発食品調査部会調査部会は、3月末の報告書において、ゲノム編集食品は、安全性において問題がないと結論付けている。
 しかし、この判断は、食品臨床試験や実証実験を経て得られたものではなく、理論的な結論として得られたものだ。

 この調査部会では、ゲノム編集食品を従来の「遺伝子組み換え」と全く異なる技術として捉えている。
 遺伝子組み換えは、遺伝子に他の生物の遺伝子を組み込む技術で、自然界では絶対に起こり得ない人為的な操作である。それに対し、ゲノム編集は、遺伝子の特定の部位を切断し、人為的に突然変異を引き起こす操作だ。
 この人為的操作は、見かけ上、自然に起きる突然変異と区分できない、というのが調査部会の言う安全性の根拠らしい。

 だが、突然変異によって新たに得た性質が、どのような効果を持つのか、またどのような副作用を持っているのか、それは長い臨床実験を経なければ分からない。一部の効果だけを確認して、「はい、終わり」という訳にはいかないのだ。
 だからこそ、日本以外のすべての国では、慎重な調査が継続して行われているのだ。

*野放しにされるゲノム編集食品

 諸外国の対応と見比べると、日本の厚生労働省の判断はほとんど常軌を逸している。
 すべての判断が、ゲノム編集食品が安全であるという結論を前提にして下されている。

 厚生労働省および消費者庁がゲノム編集食品の取り扱いに関して決定した内容が以下のものだ。
 ・ゲノム編集食品に関して、安全審査は必要ない。
 ・ゲノム編集食品の販売に関して届け出は必要ない(任意)。
 ・ゲノム編集食品の表示義務はない。

 なんだ、これ!?

 驚愕の内容だ。
 ようするに、これは、もうただの野放し状態だ。

 国民の安全よりも、業界団体の利益を優先しようとするいかにも日本の役人らしい決定だ。
 安全性のまだ不確かなゲノム編集食品を一般に販売許可するのであれば、最低でも、ゲノム編集食品の表示義務は必須だろう。それすら不要という判断は、国民を詐欺にかけているのに等しい。
 消費者庁は、ゲノム編集による人為的な突然変異と自然に起きる突然変異が区別できないということを根拠に、表示義務を課せないと報告している。しかし、この判断は、厚生労働省への忖度としか思えない。
 ゲノム編集を行った遺伝子操作の記録はすべて残るのだから、それを参照すれば、ゲノム編集食品かどうかは判断できるのではないだろうか。
 役人の口からは、門外漢を言いくるめるような、どうも怪しげな説明が並ぶ。

 ゲノム編集食品を取るか取らないかを、国民それぞれが選択できる権利を少なくとも保障するべきだ。厚生労働省と消費者庁と政治家には、その権利を国民に保障する義務がある。

 そして、最も大事なことだが、国民一人一人が、役人の一方的に決めたことに対して言いなりなならずに、自己決定、自己判断できるように賢くなるしかない。

広告