騒音の大国、ニッポン

生活音以外の騒音が溢れる国

 街中には、さまざまな音が溢れている。

 近隣から発生する生活音、工事現場から生じる作業音、交通に伴う振動音など。。。

 これらの音も規制値を越えた音量が生じれば、「騒音公害」と呼ぶことができるだろう。
 だが、これらの音は、人々が生活し、社会が機能していく上で避けられないという側面を持っていることも確かだ。社会生活上、その発生が避けられないものである以上、完全な規制は望めない。こうした騒音に関しては、遵守規定を設けて、その範囲内での騒音の発生はある程度仕方のないものとして許容していくしかない。

 しかぁーしっ!!

 アジアの隅っこにある日本という国の街中には、社会生活上避けられない騒音の他にも別の騒音が溢れかえっている。

 例えば住宅地。。。

 住宅街というのは、本来であれば、最も静けさが要求される地域のはずだ。
それが、日本の住宅地では、廃品回収車、竿竹屋、灯油の巡回販売、焼き芋屋、はてはパン屋から餃子売り、豆腐屋、牛乳屋に至るまで拡声機で怒鳴り散らして商売する輩がどれだけ多いことか。住民の迷惑も顧みずに彼らは街中を走り回っている。

 例えば駅前。。。

 都心の主要な駅前など、もう悲惨の一言だ。
 週末ともなれば、怪しげな政治団体が、右は特攻服着た右翼団体から、左は市民団体から極左っぽいのまで、ありとあらゆる集団が駅前の広場を占拠して、立ち止まって聞くものなど誰一人としていないのにも関わらず、拡声機でアジ演説を行っている。
 こんな国、世界でも日本だけだろう。

 例えば商店街。。。

 日本では、商店街の街路にスピーカーを置いて宣伝や音楽を垂れ流すのは、ごく普通のことだ。個々の店舗が行っているのではなく、商店街全体として行っているのだ。
 それに加えて、個別の店舗も当然のように、店舗前で拡声機をもって、呼び込みのための宣伝をひたすら大声を張り続けているのも、ごく日常の光景だ。

 市街地であれ、商業地であれ、公共の空間で拡声機を使う行為が、極めて時代錯誤なもので、国際的に見ても非常識なものだという認識が、行政にも国民の間にも殆どない。
 なぜ日本はここまで、公共の空間での騒音に鈍感になったのだろう?

騒音大国についての考察

 今後、「騒音大国、ニッポン」についての考察を不定期で掲載していきます。なぜ日本は、ここまで騒音の酷い国になったのか、その背景や対策も含めて考えていこうと思います。